時を超え、南方仁(大沢たかお)が幕末の江戸時代に迷い込んでから、2年ほど経ったある日のこと―。
落ち込む橘咲(綾瀬はるか)の様子が気になり、咲の実家を訪ねた仁は、咲の兄・橘恭太郎(小出恵介)から、咲の母・栄(麻生祐未)が脚気であることを明かされる。恭太郎によると、数日前、栄の身を心配する咲が橘家を訪れ、医師に診てもらうよう進言したのだが、縁談を破談にしてしまった咲をいまだ許していない栄は、咲が橘家の敷居を跨ぐことさえ認めず追い返してしまったというのだ。
何とかして栄を助けたいと考えた仁は、甘いものが好物だという栄のため、とあるお菓子をこしらえて脚気治療を行おうとする。そこで思いついたのがドーナツであった。仁はl記憶を頼りにドーナツを作り、そこに脚気のための栄養分を練りこませて食べさせようとした。しかし栄は何かに気付いたのか食べようとはしなかった。
そんなある日、仁に助けを求め、京から坂本龍馬(内野聖陽)がやって来る。聞けば、勝海舟(小日向文世)の師である佐久間象山(市村正親)という人物が何者かに襲われ、ケガをして瀕死の状態に陥っているというのだ。時代に影響を与えている重要な人物を助けることで、「歴史を大きく変えてしまうのではないか」と悩みつつ、龍馬と共に京都入りする仁。そこには、生きているのが奇跡といえる程の重症を負った象山の姿があった。
仁の必死の治療の甲斐もあって、なんとか一命を取り止めた象山。その時、意識を取り戻した象山の口から、驚きの言葉が発せられた。それは象山もタイムスリップした経験があるというものであった。象山が10歳の頃、木から落ちた象山は、気が付くと現代の日本の病院だった。そこで象山は未来の日本の姿を目の当たりにし、色々なものを吸収していった。そんな中再び階段から転げ落ちた象山は、気が付くと、元の時代の木から落ちたところで気が付いたのであった。以来象山は未来の日本での知識を元に活躍していったのであった。
象山は仁に対して、人を救うことに迷いがあることを看破した。そして、仁に対し、「心の思うままに人を救え。神が気に入らなければ、容赦なく無かったことにするはずだ」と伝えた。仁はその言葉に深く衝撃を受けたのであった。しかしちょうど薩摩の浪士たちが京の町に火を放ち、象山は火事で焼け死んでしまった。
その後、京都に留まり、長州と薩摩の戦いによって怪我をした人々の治療に専念する仁は、突然現れた新撰組によってどこかへ連れ去られてしまう。仁が連れて来られたのは、薩摩藩邸にいる西郷隆盛(藤本隆宏)のもとだった。西郷は、今すぐ腹を切って手術をしなければ、命の危険にかかわるほどの虫垂炎を患っていた。仁はすぐに手術をしなければ助からないと伝えるも、腹を切ることへの理解が得られず追い返されてしまう。
一旦は引き下がろうとした仁であったが、そのまま見過ごしては自分が許せないと言い、土下座して手術をさせてくれと懇願する。それを見た西郷は仁を信じ、手術をお願いした。無事手術を終えた仁は、再び京の人々の治療に当たったが、用意していたペニシリンが尽き、次々を人々が死んでいってしまった。自分の無力に絶望した仁は、龍馬と共に江戸へ帰ってきた。仁は栄のことが心配で、急いで栄の元へ走った。そこには元気な姿になった栄がいた。死を受け入れていた栄は喜市によって励まされ、再び生きる意志を持ち、ドーナツを食べて回復したのであった。
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