大切なことはすべて君が教えてくれた

第9話のストーリー
 2学期も残り1週間となった。産休に入る夏実(戸田恵梨香)は、英語準備室にある荷物の整理をする。バスケットボール部の顧問は、同僚の金子(能世あんな)が引き継ぐことになっていた。
 修二(三浦春馬)は、自らが望んだ通り私立明稜学園高校を解雇されることになった。それでも修二は、教師として、残された1週間を精一杯努めようとする。
 修二が解雇される件は、すぐに生徒たちの間にも広まった。中には、修二だけが責任を取らされるのは不公平だ、という意見もあった。夏実自身も、シングルマザーになることが不道徳なら、修二と同じように解雇されるべきではないか、と思い悩んでいた。それを知った教頭の鶴岡(風間杜夫)は、大事なのは子どもが幸せかどうかではないのか、と夏実に話す。
 バスケ部員たちの前であいさつをした夏実は、彼らに謝罪した。直輝(菅田将暉)は、こうなってしまったのは自分のせいだと落ち込んでいた。涼子(広瀬アリス)たちも同様だった。夏実は、そんな直輝たちに、妊娠を隠していた自分が間違っていた、と返すと、同僚たちの前で祝福したいと言ってくれた金子のことを話し、誰が何と言おうと皆の前で最高に幸せだというべきだった、と続けた。

 ひかり(武井咲)は、姉のゆかりと行くはずだった旅行の続きがしたい、と母・由梨(宮本裕子)に切り出す。ひかりは、一緒に行こうと由梨を誘った。しかし、由梨にはそれを受け入れることができなかった。
 同じころ、亜弥(内田有紀)は、ひかりの父・正則(神保悟志)と会っていた。亜弥は、ひかりから旅行に誘われたことを正則に話した。すると正則は、由梨の反対を押し切ってふたりを旅行に行かせたのは自分だと言い出し、その深い悲しみと後悔の気持ちを吐露する。
 あくる日、ひかりは、修二に白紙の進路希望用紙を提出する。その際、ひかりは、姉の命日に4年前の旅行の続きをする、と修二に打ち明けた。母や亜弥も誘ったのだという。

 別の日、夏実と会った修二は、自宅にあった彼女の私物を返す。同時に、通帳やカードを手渡すと、今後の養育費用に関してもキチンと決めようと提案する。修二は、夏実の恋人がどう思うかも気にしていた。しかし夏実は、有悟とのことを修二に言い出せなかった。

 修二は、住んでいたマンションを引き払い、小さなアパートに引っ越す準備を始める。そこにやってきた孝一(新井浩文)は、実家に戻ればいい、と修二に告げた。そんな孝一に修二は、「あそこは兄ちゃんが大事に守ってきた、兄ちゃんの場所だ」と返し、自分はここから始める、と続けた。

 終業式の朝、修二は、最後のゴミをまとめてマンションを出る。修二は、夏実と撮った写真も袋の中に入れた。が、夏実の写真を1枚だけ拾い上げ、スーツのポケットにしまいこんで学校へと向かった。

 終業式の後、夏実と修二は、話したいことがある、と同時に切りだす。ふたりは、明日会う約束をして別れた。

 2年1組に戻った修二は、ひとりひとりに通知表と修二なりのアドバイスを記入した進路希望票を手渡す。最後に修二は、簡単なあいさつをして教室を出た。が、ふいに足を止めると、教師に戻る。そこで修二は、生物は本能でどう生きればいいか知っているが、人間はそうではないから真似をしたり学習をしたりする、と話し始める。修二が何を言おうとしているのかわからず、戸惑う生徒たち。すると修二は、進路希望票に書いたことは何の役にも立たないから破り捨ててもらっていい、と言い出す。希望の大学に入っても未来が約束されているわけではない、というのだ。先に岩壁を登っていた人間が落ちていったら、怖くなって登れなくなるかもしれない。でも、失敗をした人間がボロボロになって別のルートを見つけて頑張っている姿を見たら、自分も一歩を踏み出せるのではないか、と…。「だから、僕は必ずどこかで生きていようと思います」。修二は、そう生徒たちに言って笑顔を見せた。

 その夜、駅でひかりの姿を見かけた修二は、彼女がひとりで旅行に行くことを知り、ホームまで見送りに行く。電車の扉が閉まる前、ひかりは修二に、「さようなら」と告げた。その言葉を聞いた修二は、違う、と返すと、とっさに車内に体を滑り込ませて乗り込んでしまった。

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