「学校を潰す」との成瀬誠一郎(江口洋介)の宣言に、新宮小学校は揺れ動いていた。
同じ頃、原翔子(荒川ちか)の前で倒れた武市幹城(岸部一徳)は、翔子が呼んだ救急車で病院に搬送された。 報せを受けた成瀬、武市かの子(北乃きい)、吉村百合子(堀内敬子)は、病院に駆け付け、主治医(山本圭)から病状を聞く。
予断を許さない状況であるものの、武市は気丈で、廃校問題で悩む成瀬に、教師は子どもに裏切られるのも仕事だ、あきらめずに向かい続けろ、と助言する。
病院を出た成瀬は、翔子宅を訪問。武市に、翔子が兄のアキラ(竹内寿)から暴行を受けているらしい、と聞いたからだ。
呼び鈴を鳴らすと、翔子がドアを開けた。 成瀬は、翔子に武市家へ来るよう言うが、アキラが出てきて阻止。 しかし、成瀬は翔子を連れ出した。
翌朝、武市家に泊まった翔子が5年生のクラスに入ると、一瞬にして空気が凍りつく。 そんなクラスメイトに翔子は、自分をいじめないのか、と挑発。 しかし、児童たちは、いじめは止めたと告げた。 それでも、挑発する翔子に、児童たちは次々と翔子が嫌いだ、と言いはじめる。 ショックを受けた翔子は、教室を出て行く。
児童たちは成瀬にこれが自分たちの結論だ、と話すが、成瀬は、クラス全員でひとりに向い「嫌いだ」と言い放つのは、暴力ではないのか、と問いかけた。
学校を後にした翔子は、病院を出てきた武市に再会。 武市は翔子に、成瀬が全力で差し出してくる手をつかむ勇気を持ちなさい、と諭すが、翔子はどこかへ行ってしまう。 その後、武市は学校に来ると、成瀬に翔子を探してほしいと頼む。
それを承諾した成瀬は、武市を屋上に残し校舎を出た。 しかし、何かを感じ、屋上を見上げた。
翔子が家に戻ると、成瀬が来て、武市からの伝言を持ってきたと言う。 「自分を救えるのは、自分自身だけ。変わりたいと思わなきゃ何もはじまらない」と伝えるが、翔子はおせっかいは止めるよう武市に言ってくれと答える。
しかし、成瀬はそれはできない、なぜなら、武市は死んでしまったからだ、と言った。 と、そこへアキラが現れた。 ひるむ翔子に成瀬は、自分が見守ってやるから、今、変わるんだ、と力説。 アキラは阻止しようとするが、翔子は遂に決断した。
アキラに、お兄ちゃんは病気で治療が必要だ、病気が治らない限り、自分は家には戻らない、と宣言。 そして、成瀬に、しばらく泊めてほしい、と頭を下げた。 成瀬とともに武市家に戻った翔子は、布団に寝かされた武市の遺体と対面した。
そんな折、武市家の電話が鳴った。 電話の主は、本木友一(三浦翔平)で、アキラが新宮小学校でバットを振り回し、暴れているという。 それを聞いた成瀬は、翔子にこれから学校へ行って、アキラと決着をつけようと促す。
今日を翔子とアキラのはじまりの日にするんだ、という成瀬の言葉に翔子はうなずいた。
その頃、学校では、桐原伊織(西島秀俊)、大橋仁(塚本高史)、本木、脇谷九重郎(塩見三省)が、警察に通報するかどうか、議論していた。 そこへやって来た成瀬と翔子は、アキラが立てこもる職員室に入っていく。 ふたりを見て興奮するアキラに、成瀬はバットを置いて治療を受けると約束しろ、従わなければ警察に通報する、と言った。 脇谷は、警察沙汰になれば廃校は確実だと狼狽するが、成瀬は覚悟の上だと返答。
アキラも、校長にそんなことができるか、と挑発するが、成瀬は自分には翔子とアキラのほうが大事なんだと言い、脇谷に警察への通報を指示。 ところが、脇谷が拒否したため、桐原が通報した。 アキラは、それを阻止しようとバットを持って突進、成瀬がその前に立ちふさがった――。
4日後、学校は再開されたが、事件が新聞沙汰となったため、教員たちは混乱の収拾に奔走していた。 その頃、大橋は翔子宅を訪ねていた。 応対した翔子は、今回のことで両親が変わった、と話した。
一方、新宮小学校の廃校は、さらに現実味を増していた。 成瀬は、保護者らに学校存続を望む嘆願書への署名依頼をはじめる。
その頃、児童たちの間でも変化が起こっていた。放課後、クラス全員で翔子の家に行き、これから一緒に行ってほしいところがあると告げた。
翌日、成瀬と脇谷は、教育委員会に呼ばれ区庁舎にいた。 成瀬は、教育長に嘆願書を受け取ってほしいと頼むが、教育長はそれを拒否。 新宮小学校の今後については、結論が出ていて、区長が説明するからだという。 そして、成瀬らに相対した区長(大杉漣)は、武市の教え子で、成瀬の先輩に当たる人物だった。
区長によると、新宮小学校の廃校は決定していたが、武市が亡くなる二日前に来て、廃校を撤回するよう頼んだという。 それでも、廃校は免れなかったが、昨日、5年生たちが来て、廃校撤廃を願うビラを配って直談判したというのだ。
そんな光景を見て、遂に廃校撤廃を決めたという。 しかし、事件の責任を取り、成瀬の校長解任が決まった。 成瀬は、その決定を受け入れるが、学校には黙っていてくれ、と脇谷に頼む。 区長室を出ると、5年生たちが待っていた。 児童に囲まれた成瀬は、廃校が先延ばしになったと告げた。
そして、卒業式が終わり、終業式の日。体育館には1年生から5年生までの児童が集まり、終業式が執り行われた。 その最後、登壇した成瀬は、ついに自分が学校を辞めることを明かす。
突然の告白に、体育館は静まり返った。 成瀬は、そんな児童たちに、情熱を持って生きること、自分の家族や友人、恋人、夢、そして自分自身を愛する人間になれとエールを送る。 そして、学校から去ったあとも、みんなの父親でいたいと思っている、と訴えた。
その後、成瀬が学校を出ようとしていると桐原がやってくる。 あなたが残したものを無駄にはしないと言うと、桐原は右手を差し出し、成瀬と握手を交わした。 さらにそこへ、児童たちがやってくる。 成瀬は、見送りに礼を言うと、校門に向かって歩いて行く。
学校を出た成瀬は、河川敷に座ると、武市が成瀬のために買い置きしてくれていた「道の途中」という酒を、ふたつのグラスに注ぐ。
成瀬は、武市用のグラス、そしてスカイツリーにも乾杯すると、晴れやかな顔で言った。 「スカイツリーは、でっかいなあ!」と。
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