成瀬誠一郎(江口洋介)と武市かの子(北乃きい)は、行方不明の伊藤かすみ(伊藤綺夏)の自宅を訪ねた。 自宅には、母親の春江(舟木幸)と再婚相手の小林宗司(甲本雅裕)がいたが、かすみは戻っていなかった。 そんなところへ、警察から電話がかかってくる。かすみは、放火魔の逮捕に協力したとして、警察署に連行されていたのだ。 成瀬らは、かすみを引き取るが、かすみの表情は浮かないままだった。
同じ頃、職員室にいた桐原伊織(西島秀俊)は、かすみからの非難の言葉を思い返していた。
翌朝、登校中のかすみは、放置された自転車に近づくと、カゴのゴミに火をつけようとした。 と、そこへ、成瀬が声をかける。成瀬は、かすみと一緒に登校することにしたと言うと、母親と再婚のことを話したかと聞く。 しかし、かすみはそれには答えず、自分は大丈夫だから、と言って立ち去ってしまう。
授業中、かすみの異変に気付いた大橋仁(塚本高史)は、声をかけるが、受け流される。 しかしその後、かすみの事情を知った大橋は、自分も成瀬のように、かすみの心の扉を叩き続けよう、と決心する。
放課後、成瀬はかすみに声をかけ、小林が勤めるスーパーに行こうと誘うが、小林には会いたくない、と一蹴されてしまう。 その後、公園にやって来たかすみは、桐原からのメモがついた受験資料に火をつけた。 が、人の気配を感じると、慌てて炎を踏み消し、燃え残った資料をゴミ箱に捨てた。
同じ日の夜、成瀬、かの子、吉村百合子(堀内敬子)、武市幹城(岸部一徳)は、小林ら地元の消防団に混ざって、夜回りに参加していた。 すると、小林が、かすみが燃やした資料を見つける。
その資料を持ち帰った成瀬は、かすみの心の傷が深いことに衝撃を受け、自分は何を言ってやればいいのか、と途方にくれる。 それを聞いた武市は、何を言うかも大切だが、誰が言うかも大事だ、と話した。
翌早朝、成瀬は桐原にかすみの件を話し、かすみが桐原に助けを求めているように思えてならないから、声をかけてやってほしい、と頼む。 それを黙って聞いていた桐原は、成瀬に過去を打ち明けはじめた。 以前、桐原は家庭でのストレスをいじめで発散していた児童を救おうと、その児童と徹底的に向き合った。 しかし、その児童は、いじめていた児童に「自分は担任にひいきされているから、誰に助けを求めてもムダだ」と脅していた。 結果、いじめられていた子が、自殺を図るという事件が起こった。
桐原は、子どもには子どもの世界のバランスがあって、大人が無理に介入しようとすれば、不幸が起こることがある、と思い知ったというのだ。 それを聞いた成瀬は、目の前で倒れている人がいるのに、理屈をこねている場合か、と声を荒げる。
そんなところへ、かの子が飛び込んできて、資料を燃やしたことを小林に叱られたかすみが家を飛び出した、と告げた。 成瀬は、桐原に声をかけると、職員室を飛び出して行く。と、桐原も成瀬を追うように、駆け出した。
成瀬、桐原、かの子、大橋が手分けしてかすみを探すうち、成瀬が、とある廃屋の前でかすみの自転車を見つける。 そして、建物のなかにいるかすみに声をかけるが、かすみはドア越しに「来ないで」と拒む。 そこへ、追いついた桐原とともに、成瀬はドアを蹴破って建物のなかへ。
かすみは、床に灯油をまいたと言い、ライターを掲げた。説得しようとする成瀬らにかすみは、自分がいい子にしていれば父親が帰ってくると信じていたこと、小林が優しい人だとはわかっているが、それを認めれば、昔に戻れない気がして許せなかった、そんな自分が嫌いなので全部を消してしまいたい、と涙ながらに心情を吐露した。
すると、突然、桐原が歩み出てかすみの頬を打った。 一同が息をのむなか、桐原は、「君ならつらい過去を乗り越えられるから頑張りなさい」と告げた。その言葉は、かすみの心に届いた。
数日後、学校では、「父親参観祭り」が開催され、多くの父親たちが授業参観に訪れた。活気づく学校に、成瀬は笑顔になる。
同じ頃、病院に検査の結果を聞きに訪れた武市は、医師(山本圭)から、病気は胃がんで助かる確率は50%だと告げられていた。
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