成瀬誠一郎(江口洋介)は、警察に連行された大橋仁(塚本高史)を武市家に連れ帰る。 武市幹城(岸部一徳)、吉村百合子(堀内敬子)は、バツが悪そうな大橋を、あたたかく迎えた。
桐原伊織(西島秀俊)から痛烈に批判された成瀬は、桐原の言葉が頭から離れない。 そんな成瀬に、武市は自分らしくやればいいと助言、成瀬もやる気を取り戻す。
そして、翌早朝。成瀬は、武市かの子(北乃きい)を起こすと、ワゴン車に乗せた。 そこには、大橋と成瀬のゼネコン時代の後輩・杉山(阿南健治)がいた。
成瀬は、かの子と大橋に学校を休ませ、杉山らが行う河川敷の工事を手伝わせようというのだ。 成瀬は、現場でかの子と大橋を降ろすと、自分は学校へ行ってしまう。
学校に着いた成瀬は、職員会議でかの子と大橋のことを報告。 さらに、5年生に一日だけの臨時教師を頼んだことも明かした。 5年生クラスにやってきたのは、武市と百合子だった。
驚く子どもたちに成瀬は、今日は、武市たちとおにぎりを作るのだ、と告げた。
その頃、大橋は、作業をしながら、子どもたちのことを考えていた。 すると、戻ってきた成瀬が、大橋に土嚢を運ぶ勝負をしよう、と持ちかける。 昼食を賭けての勝負だと聞いた大橋は憮然とするが、成瀬や杉山ら作業員にあおられ受けることに。
そして、それぞれが土嚢30個を運ぶ競争がはじまった。 重たい土嚢を担ぎ全速力で移動させるという、単純だが、根性のいる勝負だ。 成瀬も大橋も互角のまま、勝敗は最後の一袋に持ち越された。 かの子や作業員たちが見守るなか、僅差で勝ったのは大橋だった。 成瀬とともに土嚢の山に倒れ込んだ大橋は、すがすがしい笑顔を見せた。
成瀬は学校に戻り、大橋や作業員たちには、昼食が振る舞われた。 それは、5年生が握ったおにぎりだった。 きっちり三角形に握られたもの、まん丸のもの、小さい俵型のもの、まさにふぞいだったが、大橋は、それをクラスの誰が握ったか、言い当てた。
8ヵ月子どもたちを見てきた大橋には、子どもの個性がわかるのだ。 それを聞いたかの子や作業員たちは、心を動かされる。
夕方になり、仕事を終えた作業員が帰りはじめる。かの子と大橋も送迎の車に乗るよう言われるが、大橋は一日働いた現場をもう少し見ておきたいと言い、かの子もそれに付き合うことに。
かの子はそこで、大橋に本当に学校を辞めるのか、と尋ねるが、大橋の意志は固かった。 そして、中途半端なばかりに周囲に迷惑をかけたことが恥ずかしい、と恐縮する。
それを聞いたかの子は、人間はみんなカッコ悪いものだから、辞めずに自分と一緒に先生を続けよう、と涙ながらに訴える。 そんなやりとりを、物陰から桐原が見ていた。
夜、アパートに戻った大橋は、郵便受けに入っていたノートを見つけた。 それは、大橋がクラスでの日々を綴ったノートで、ここ数日、成瀬が持っていたものだ。 大橋が踏みつけたため、汚れたり破れてしまったページを、成瀬は1ページずつ補修し返却したのだ。 成瀬の思いに、大橋は思わずノートを抱きしめた。
翌朝、不登校の4年生の田畑健(中島凱斗)が自宅を出て学校とは反対方向に歩きはじめると、そこに大橋がいた。 大橋は、健に不登校同士、一緒に学校へ行こうと誘う。 学校を辞めるのではなかったのか、と尋ねる健に大橋は、辞めるのをやめたと明かした。
しかし、校門をくぐるのにくじけそうなので、自分と一緒に行ってほしい、と頼む。 教師が頭を下げる姿を見た健は、思わず笑ってしまうが、付き合って登校する。
その頃、学校では、桐原が校門のほうを見つめていた。と、そこを通りかかった成瀬が何をしているのか、と聞くが、桐原は「別に」とそっけなく答える。 そんなところへ、大橋と健が登校してきた。その姿に安堵しながらも、桐原は、学級崩壊の問題が解決したわけではない、とクールに言う。
しかし、成瀬は、大橋はそれを覚悟で戻ってきたんだ、大橋は信頼できると思うし、桐原が好きな「現実を知っている」教師だ、と答えた。それを聞いた桐原は口元に笑みを浮かべ、歩いていった。
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