成瀬誠一郎(江口洋介)は、職員会議で、区長が学校を見学する「区長参観」が行われることになったと発表する。桐原伊織(西島秀俊)は、参観日も授業は普段通りで構わないと言うが、脇谷九重郎(塩見三省)は、万全を期してほしい、と息巻く。
そんななか、桐原は、顔色のよくない大橋仁(塚本高史)に声をかけたが、その後、大橋は2日も無断欠勤する。武市かの子(北乃きい)らは心配するが、桐原は、大橋はもう学校には来ないだろう、と言い放つ。大橋は、受け持っている5年生の生徒から侮蔑的な扱いを受けてきたというのだ。
早速、成瀬は大橋のアパートを訪ねるが、応答がない。心配になり合カギでドアを開けようとすると、なかから大橋がそれを阻止。隙間から大丈夫だ、と言うとドアを閉めてしまう。
同じ頃、臨時で5年生を受け持ったかの子は、早くも授業妨害に遭っていた。そんな様子を、学校に戻った成瀬が目撃。午後からの授業は、成瀬とかの子で受け持つことに。ところが、成瀬が教壇に立つと、教室は静まり返る。成瀬は、騒ぐなら騒げ、とあおるが、誰も騒ごうとしない。さらに、一人ひとりに呼びかけるが、生徒は、自分は騒いでいない、自分は注意した、と弁明するばかり。ところが、成瀬が背をむけた瞬間、原翔子(荒川ちか)がガシャンと筆箱を落とした。成瀬が振り返ると、翔子は、手が滑って、と言ってのけた。
その頃、大橋はひとりアパートの部屋で5年生を受け持ってからの日々を思い返していた。
何とか5年生の授業を終えた成瀬は、帰宅途中、河川敷にたたずんでいた。と、そこへ武市幹城(岸部一徳)がやってきた。酒とおでんを携えた武市は、成瀬と酒を酌み交わし、複雑な世の中だが、シンプルなのが一番いい、と語った。
翌日、区長参観日まで時間がないなか、大橋の不登校問題などでストレスがたまった脇谷が、胃炎で倒れてしまう。脇谷は成瀬に、大橋の代わりの教員を採用してくれ、と懇願するが、成瀬はあと2日待ってくれ、と頼み、桐原もそれを容認する。そんなやりとりを見ていた岡本幸恵(市川実和子)は、桐原に、成瀬が昔の桐原に似ている、と意味深な発言をする。
一方、学校を辞める決意をした大橋は、辞表をポストに投函した。そして、道端で酒を飲んでいると、4年生の田畑健(中島凱斗)が通りかかる。健は、優等生だが周囲から関心を示されないことが不満で、病気だとウソをつき学校を休んでいた。ふたりが互いの状況を打ち明けていると、そこに、刑事がやってきた。
同じ頃、授業をしている成瀬のもとに、桐原と本木友一(三浦翔平)が来て、大橋と健が警察に連行されたと報告する。
成瀬、桐原、かの子、本木が警察署に行くと、刑事に連れられて大橋と健が出てきた。本木は、健を自宅に送り届けると言って警察署を後にする。大橋も、成瀬らに辞表を郵送したから、と頭を下げその場を去ろうとした。成瀬は、そんな大橋に止まるよう言うが大橋は止まらない。すると、成瀬は、持っていたノートの記述を読み上げはじめた。それは、5年生クラスに就任以降、大橋が綴っていた記録だった。大橋は、成瀬に駆け寄るとノートを奪う。そして、それを地面に叩きつけ、踏みつけた。成瀬がそれを止めようとし、ふたりはもみ合いになる。と、突然、大橋が地面にへたり込む。自分はもう教師を辞めるんだ、と言う大橋に、成瀬はこのまま逃げるのか、と問いかけるが、自分の気持ちはあんたにはわからない、と叫び、大橋は再びノートを投げ捨てた。
そこに、雨が降ってきた。雨のなか泣きだす大橋を、奮起させようと必死になる成瀬。すると、そこへ桐原が割って入った。桐原は成瀬の胸倉を掴むと、最後の最後に人を追いつめるのは、無知で無邪気な善意だ、と言い放った。激しく怒りを露わにした桐原に、成瀬は返す言葉もなかった。
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