成瀬誠一郎(江口洋介)は、給食時間にひとり座っている5年生の上野成吾(上妻成吾)に声をかけるが、成吾は食べたくないからと言って給食を食べようとしない。成瀬は、担任の大橋仁(塚本高史)を見るが、大橋は気まずそうな顔をするだけだった。
そんななか、原翔子(荒川ちか)が、成吾は貧乏で給食費が払えないから食べないのだ、と発言。驚いた成瀬が大橋に聞くと、成吾は数ヵ月も給食を食べていないことがわかった。給食費のことは自分が親と話すから、気にせずに食べろ、と成瀬は言うが、成吾はそれを拒む。
放課後、そんな成吾に、同級生の市村理矩(市川理矩)が1ヵ月5000円で友だちになる契約をしないか、と声をかけ、財布から札を取り出して見せた。
一方、成瀬は教員たちに成吾の問題を訴えるが、反応は冷ややかだった。 桐原伊織(西島秀俊)は、家庭に給食費を督促したが払ってもらえない以上、学校では対応できないと答える。 納得できない成瀬は、給食費が払えず食べられない生徒がいるなら、自分は給食をタダにする、と宣言。 無謀な提案に一同が驚くなか、成吾が来て給食費だと言って5000円を差し出した。
その後、下宿先に戻った成瀬は、武市かの子(北乃きい)、武市幹城(岸部一徳)、吉村百合子(堀内敬子)にも、給食費の問題を解決するために全力を尽くす、と語った。
一緒に遊ぶことが増えた成吾と理矩は、ある日、理矩の自宅マンションへ行った。 金持ちの理矩は、そこで「ボーナス」だと言って成吾に500円を差し出した。 金に困っているとはいえ、何でも金で解決しようとする理矩に成吾は怒り、ふたりは衝突してしまう。
自宅に戻った成吾は、父親(田中要次)に給食費のことを頼むが、父親は、払えないから仕方がない、と怒りをあらわにする。
翌日、成吾の自宅を訪ねた成瀬は、借金取りと思われる男たちに絡まれる成吾を目撃。 成瀬は、男たちに返済を待ってくれるよう頼み、男たちも渋々了承し帰っていった。 その後、成吾が自宅へ入ると、借金取りに見つからないよう姿を隠していた父親が現れた。 成吾は、父親のそんな態度に失望する。
自分にできることを考えた成吾は、理矩を訪ねると、一生言うことを聞くから、理矩の貯金10万円を自分にくれ、と頭を下げる。 すると、理矩は、学校の近くの川にかかる橋から飛び降りたら金をやる、と条件を出した。
「成吾が橋からダイブする」という噂はすぐに広まり、成吾は後に引けなくなる。 そして、放課後。5年生たちは、連れ立って川に向かった。
その頃、成瀬は、養護教諭の岡本幸恵(市川実和子)に頼んでおいた献立リストを受け取る。 少しでも給食費を安くするため、献立や材料の仕入れ先の見直しをしていたのだ。 そして、後日、500円の値下げを決行することができた。
そんななか、5年生の伊藤かすみ(伊藤綺夏)が成吾のことを報告にやってきた。 成瀬が駆けつけると、成吾は橋の欄干に立ちつくしていた。 クラスメイトたちからはやし立てられ、追いつめられた成吾に、成瀬は、飛び降りて骨折でもすれば金がかかる、などと冷静に声をかけた。 それを聞いた成吾は、ほかに金を得る手段がないのだから仕方がない、と言って泣きはじめた。
成瀬は、そんな成吾を欄干から下ろすと抱きしめて、面倒くさいことは大人に任せて給食を食べることが子どもの仕事だ、と力説。 さらに、その場にいた子どもたちにも、健康、友だち、そして命など、金以上に大事なものがあるんだ、と話して聞かせた。
そんなやりとりを、桐原に連れて来られた成吾の父親が見ていた。 そして、桐原から見栄を捨てて、成吾のために就学援助制度を利用するのも親の義務だと言われ、ついに同意した。
翌日、仲良く給食を食べる成吾と理矩の姿を見た、成瀬、かの子は笑顔になる。 しかし、そこに大橋の姿はなかった。
その頃、大橋は自宅のベッドの上で膝を抱えていた。 |